2010-08-25

その規制は誰のためにある


弱者のための規制が弱者の首を締めるという好例を説明したとても良い記事があったのでご紹介。
ミネラルウォーターと保育園  - SYNODOS JOURNAL(シノドス・ジャーナル) - 朝日新聞社(WEBRONZA)
ところが、ここで与党の政治家達が、「たかが水に120円もの高い価格をつけるとはケシカラン。低所得者にとって120円は高すぎるではないか。水は生活にとって必需品であるし、低所得者等が安心して購入できるためにも、ペットボトルの水は10円にすべきである」と主張して、ミネラルウォーターの価格を低く固定する「価格統制策」を実施したとしましょう。
こういった感情的な理由に基づく政策は往々にして失敗することが多い。
しかし、こうした企業は、これまで市場経済で競争をしていた民間企業と異なり、明らかに効率性に劣る経営をします。何しろ、大量の待機者がいるわけですから、つくるそばから飛ぶように売れますので、企業努力をする必要がありません。
また、お客よりも、割当を決める役所ばかりをみて活動をしますから、当然、おいしかった水の質も落ちてきます。しかし、それでも10円、30円の安さですから、消費者もありがたく、文句がいえません。
独占の問題点は効率性が低下することだ。消費者がもっとお金を出しても良いからおいしい水を買いたいと思っていても、生産者の利益は消費者からではなく役所からもたらされるので、生産者が消費者のニーズに応えても利益は増えない
こうしたなか、本来、1本あたり120円で生産されていたペットボトルの水も、直ぐに200円、300円のコストがかかるようになってしまいました。消費者は10円、30円で買っていますから文句をいいませんが、じつは、その裏で1本あたりの販売単価の何十倍もの赤字が発生し、これはすべて税金で穴埋めされています。
これこそが隠れたコストだ。税金は自分でコントロールできる部分が少ないので、自分で確定申告することが必要な人でも無ければ気にするインセンティブが小さい。
それでは、この問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。
それはもうお気づきのことと思いますが、じつに簡単なことで、元の市場価格に戻して、その後につくった法律(割当の要件、参入規制)を廃止することに尽きます。
規制が全て悪では無いが、政策として実行してみて効率性を損なう(=他にもっとうまいやりかたがある)規制だとわかったら撤廃するべきだ。
いやいや、まだ問題が残っています。そうです。そもそも政治家が価格統制を言い出した低所得者対策をどうするかということです。
しかし、その答えも簡単で、もし、低所得者にミネラルウォーターを安く提供することが政策的に本当に必要であるならば、認可企業に公費補助金を投入するのではなく、直接、低所得者に水を購入するための補助金を渡せばよいのです。
もし低所得者向けの政策を採りたいのであれば、この層にピンポイントに届く政策が好ましい。水の値段を規制すると、その影響は水の消費者全てに及んでしまう。
さて、ここまでの寓話で、懸命な読者はお気づきかと思いますが、これはじつはミネラルウォーターの話ではなく、日本の保育政策の話なのです。
(中略)
経済学的に考えて、待機児童問題を解決し、公費漬け・補助金漬けの高コスト体質の保育産業の問題を解決するために、一番重要な政策は、保育料価格の自由化です。
水ビジネスを規制した場合の問題は、そのまま保育所の問題に当てはまる。
需要者と供給者のニーズを一致(=効率性を改善)させるためにも規制の緩和は必要だ

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